建築士試験とは?一級・二級の試験科目・学科・設計製図・試験日程を完全解説
「建築士試験って、結局どんな試験なの?」「一級と二級で何が違うの?」
建築士を目指すとき、最初にぶつかるのがこの疑問です。建築士試験は一級建築士・二級建築士・木造建築士の3種類があり、いずれも「学科の試験」と「設計製図の試験」という2段階構成になっています。ただし、出題科目の数や配点、設計製図の試験時間などは一級と二級で異なります。
先に結論
建築士試験は、公益財団法人建築技術教育普及センターが試験事務を行う国家資格の試験で、①学科の試験(マークシート方式) ②設計製図の試験の2段階で行われます。設計製図の試験は、学科の試験に合格しなければ受験できません。一級建築士試験は学科5科目・125問、二級建築士試験は学科4科目・100問で、設計製図の試験時間は一級が6時間30分、二級が5時間です。本記事では、令和8年度(2026年度)の実施内容をもとに、試験科目・出題形式・日程の全体像をArc建築士予備校が整理します。
この記事では、これから一級・二級どちらを受けるか検討している方に向けて、試験の全体構造・学科科目・設計製図・試験日程を1本にまとめました。各科目の詳しい難易度や勉強法は、関連記事でさらに詳しく解説しています。
目次
1.建築士試験とは?資格の種類と全体像
建築士試験は、建築士法にもとづく国家資格の試験で、大きく次の3種類に分かれます。
建築士試験の種類
- 一級建築士試験:免許は国土交通大臣。建築物の規模・構造・用途による業務範囲の制限が、二級建築士・木造建築士より少ない
- 二級建築士試験:免許は都道府県知事。一定の規模・構造・用途の建築物について、設計・工事監理を行うことができる
- 木造建築士試験:免許は都道府県知事。一定の規模・構造の木造建築物について、設計・工事監理を行うことができる
一級建築士試験は国土交通大臣の指定を受けた公益財団法人建築技術教育普及センターが、二級建築士試験・木造建築士試験は都道府県の指定を受けた同センターが試験事務を行っています。
このうち、多くの方がまず検討するのは一級建築士試験と二級建築士試験です。この記事でも、以降は主にこの2つの試験を中心に解説します。
なお、受験資格については、一級・二級それぞれで学歴や実務経験の要件が異なります。詳しくは別記事「一級建築士の受験資格をわかりやすく解説」「二級建築士の受験資格をわかりやすく解説」をご覧ください。
2.「学科の試験」と「設計製図の試験」の2段階方式
一級・二級とも、建築士試験は「学科の試験」に合格した人だけが「設計製図の試験」に進めるという2段階方式です。
学科の試験は例年夏頃に実施され、合格者のみが、その後に実施される設計製図の試験に進みます。設計製図の課題(どのような建物を設計させるか)は、試験の数か月前に建築技術教育普及センターのホームページで公表されるのも特徴です。
学科の試験に不合格だった場合、その年の設計製図の試験は受けられません。一方、学科の試験に合格すると、引き続いて行われる4回の建築士試験のうち2回(学科合格年の設計製図の試験を欠席する場合は3回)について、学科の試験が免除される制度があります。一級・二級とも同じ仕組みです。
なお、学科免除の対象となる試験回数には、設計製図の試験を受験した回数が関係します。具体的な適用関係については、受験する年度の建築技術教育普及センターの受験要領を確認してください。
3.一級建築士試験の学科科目を解説
一級建築士試験の学科の試験は、5科目・125問・125点満点の四肢択一式です。
| 科目 | 問題数 | 配点 |
|---|---|---|
| 学科Ⅰ(計画) | 20問 | 20点 |
| 学科Ⅱ(環境・設備) | 20問 | 20点 |
| 学科Ⅲ(法規) | 30問 | 30点 |
| 学科Ⅳ(構造) | 30問 | 30点 |
| 学科Ⅴ(施工) | 25問 | 25点 |
| 総得点 | 125問 | 125点 |
一級建築士試験では、総得点の基準点に加えて、各科目にも合格基準点が設定されています。したがって、総得点だけでなく、各科目の基準点をすべて満たす必要があります。合格基準点は年度によって変動・補正されることがあるため、具体的な数値については受験年度の公式発表を確認する必要があります。
一級建築士 学科試験のポイント
- 5科目・合計125問・125点満点
- 四肢択一式
- 「法規」では法令集の使用が認められている
- 総得点だけでなく、科目ごとの基準点もすべて満たす必要がある
- 2026年度の学科試験は7月26日(日)に実施された
4.二級建築士試験の学科科目を解説
二級建築士試験の学科の試験は、4科目・100問・100点満点の五肢択一式です。
| 科目 | 問題数 | 配点 |
|---|---|---|
| 学科Ⅰ(建築計画) | 25問 | 25点 |
| 学科Ⅱ(建築法規) | 25問 | 25点 |
| 学科Ⅲ(建築構造) | 25問 | 25点 |
| 学科Ⅳ(建築施工) | 25問 | 25点 |
| 総得点 | 100問 | 100点 |
二級建築士試験も、一級と同様に科目ごとの基準点と総得点の基準点の両方を満たす必要があります。学科Ⅰ・Ⅱ(建築計画・建築法規)と学科Ⅲ・Ⅳ(建築構造・建築施工)は、それぞれ午前・午後に分けて実施され、「建築法規」では法令集チェックが行われます。
二級建築士 学科試験のポイント
- 4科目・合計100問・100点満点
- 五肢択一式
- 「建築法規」では法令集の使用が認められている
- 総得点だけでなく、科目ごとの基準点もすべて満たす必要がある
- 2026年度の学科試験は7月5日(日)に実施された
一級・二級のどちらも「総得点さえ高ければ合格」という仕組みではない点は共通しています。各科目の基準点を意識して、バランスよく学習することが重要です。
5.設計製図の試験とは?何が課されるのか
学科の試験に合格すると、次に設計製図の試験に進みます。これは、あらかじめ公表された課題(建物の用途・条件)にもとづき、制限時間内に設計図書と計画の要点等の記述をまとめる試験です。
| 区分 | 一級建築士試験 | 二級建築士試験 |
|---|---|---|
| 試験時間 | 6時間30分 | 5時間 |
| 2026年度の課題公表 | 7月24日 | 6月24日 |
| 主な内容 | 与えられた条件にもとづく建物の設計製図、面積表、計画の要点等の記述 | 与えられた条件にもとづく建物の設計製図、面積表、計画の要点等の記述 |
設計製図の試験は、単に図面が美しく描けるかだけでなく、与えられた条件(要求室・法規制・敷地条件など)を正しく満たしているかが重要です。設計条件や要求図書、主要な要求室などに対する重大な不適合がある場合には、不合格となることがあります。そのため、学科とは異なる対策が必要です。
例えば、2026年度の一級建築士試験では「ホテル」が課題として公表され、1階平面図・配置図、各階平面図、断面図、面積表、計画の要点等が要求図書として示されています。二級建築士試験では「商店街に建つ併用住宅(木造3階建て)」が課題として公表され、1階平面図兼配置図、各階平面図、床伏図兼小屋伏図、立面図、部分詳細図、面積表、計画の要点等が要求図書とされました。
このように、要求される図書の種類や課題の内容は年度によって異なります。課題公表後は、当該年度の課題と要求図書を確認したうえで対策することが重要です。
課題は事前に公表されるため、公表から試験当日までの期間に、想定される課題パターンを繰り返し練習するのが一般的な対策の流れです。設計製図の具体的な対策方法は、別記事「設計製図対策」で詳しく解説予定です。
6.一級・二級建築士試験の日程【令和8年度(2026年度)】
試験日程は年度ごとに建築技術教育普及センターが公表します。ここでは、令和8年度(2026年度)の実施内容を整理します。
| 区分 | 一級建築士試験 | 二級建築士試験 |
|---|---|---|
| 受験申込受付 | 4月1日〜4月14日 | 4月1日〜4月14日 |
| 学科の試験 | 7月26日(日)実施 | 7月5日(日)実施 |
| 学科の合格発表 | 9月2日(水)発表 | 8月24日(月)発表 |
| 設計製図の課題公表 | 7月24日(金)公表 | 6月24日(水)公表 |
| 設計製図の試験 | 10月11日(日) | 9月13日(日)実施 |
| 最終合格発表 | 12月23日(水)予定 | 12月3日(木)予定 |
重要な注意:
上記は令和8年度(2026年度)の試験日程です。試験日程・申込方法・実施場所等は年度によって変更される場合があります。実際に受験する年度の正式な試験案内は、必ず建築技術教育普及センターの公式サイトで確認してください。
2026年度については、一級建築士試験は学科7月・設計製図10月、二級建築士試験は学科7月・設計製図9月という日程です。学科から設計製図までには一定の準備期間がありますが、学科合格後に設計製図対策を進める場合には、限られた期間を計画的に使う必要があります。
7.一級建築士試験と二級建築士試験の違い一覧
ここまでの内容を、一級・二級の違いとして一覧に整理します。
| 比較項目 | 一級建築士試験 | 二級建築士試験 |
|---|---|---|
| 免許 | 国土交通大臣 | 都道府県知事 |
| 学科の科目数 | 5科目(125点満点) | 4科目(100点満点) |
| 学科の出題形式 | 四肢択一式 | 五肢択一式 |
| 設計製図の試験時間 | 6時間30分 | 5時間 |
| 学科の実施時期 | 7月下旬 | 7月上旬 |
| 設計製図の実施時期 | 10月 | 9月 |
| 業務範囲 | 建築物の規模・構造・用途による制限が二級・木造より少ない | 一定の規模・構造・用途の建築物が対象 |
一級建築士試験と二級建築士試験は、「規模が違うだけの同じような試験」ではなく、科目構成・出題形式・製図の試験時間まで異なる、それぞれ独立した試験と捉えると分かりやすいでしょう。一級・二級それぞれの合否ライン・難易度の詳細は、別記事「一級建築士試験の難易度」「二級建築士試験の難易度」で解説しています。
8.学科試験のボリューム比較|問題数・出題形式
学科試験の負担感は、単純な「科目数」だけでなく「問題数」「試験時間」でも変わってきます。
| 項目 | 一級建築士試験 | 二級建築士試験 |
|---|---|---|
| 総問題数 | 125問 | 100問 |
| 科目数 | 5科目 | 4科目 |
| 法令集の使用 | 法規科目で可 | 建築法規科目で可 |
| 合否判定の考え方 | 総得点+科目ごとの基準点 | 総得点+科目ごとの基準点 |
出題範囲のボリューム感
一級建築士試験は5科目・125問、二級建築士試験は4科目・100問であり、問題数や科目構成が異なります。ただし、科目数や問題数だけで試験の難易度や学習負担を判断することはできません。それぞれの試験で求められる知識や出題内容を確認したうえで、学習計画を立てることが重要です。
「科目数が少ないから二級の方が簡単」と単純に判断するのではなく、各試験の出題内容や合格基準、必要な学習量を確認することが大切です。それぞれの合格率・必要勉強時間の目安は、別記事「一級建築士試験の難易度」「二級建築士試験の難易度」で詳しく解説しています。
9.よくある勘違い
誤解されやすいポイント
- 「学科と設計製図は同じ日に受ける」→学科の試験と設計製図の試験は、別日程で実施されます
- 「学科の総得点が高ければ合格」→一級・二級とも、総得点の基準点に加えて、科目ごとの基準点をすべて満たす必要があります
- 「設計製図は図面がきれいなら合格」→与えられた条件、要求図書、主要な要求室等を適切に計画できているかが重要で、重大な不適合がある場合には不合格となることがあります
- 「二級は一級より科目が少ないから、学習負担も必ず少ない」→科目数だけで試験の学習負担を判断することはできません
- 「試験日程は毎年まったく同じ」→試験日・申込方法等は年度によって変更される場合があるため、受験する年度の最新の試験案内を確認する必要があります
10.ケース別|自分はどの試験を受ける?
| こんな人 | 確認・検討するポイント |
|---|---|
| 大規模な建築物の設計・工事監理に携わりたい | 一級建築士の業務範囲と受験資格を確認する |
| 一定規模までの建築物を対象に設計・工事監理を行いたい | 二級建築士の業務範囲と受験資格を確認する |
| 木造建築物を中心に学びたい | 木造建築士の制度も含めて確認する |
| 受験資格を満たすかどうかまだ分からない | 別記事「一級建築士の受験資格」「二級建築士の受験資格」で、自分の学歴・実務経験を確認する |
| 学科・設計製図、どちらから対策すべきか迷っている | 受験年度の試験日程と学科免除制度を確認したうえで、学科から設計製図までの学習スケジュールを組む |
11.Arc講師の視点|試験の全体像を最初に押さえる重要性
Arc建築士予備校には、「一級と二級、どちらを受けるべきか」「学科と設計製図、どちらから対策すればいいか」という相談が多く寄せられます。
試験科目・出題形式・日程という全体像を最初にきちんと把握しているかどうかで、その後の学習計画の立てやすさが変わります。特に、学科の試験から設計製図の試験までの期間をあらかじめ把握しておくことは、設計製図対策のスケジュールを考えるうえで重要です。
「まず何から手をつければいいか分からない」という段階でも、試験の全体構造を一緒に整理するところから対応しています。
学科5科目から設計製図まで、マンツーマンで段階的に対策
学科4科目・設計製図まで、基礎から個別に対応
学科〜設計製図までの年間スケジュールを個別に設計
建築士試験|よくある質問
Q.建築士試験は、学科と設計製図を同じ日に受けるのですか?
いいえ、別日程です。学科の試験に合格した人が、その後に実施される設計製図の試験を受験します。2026年度は、一級建築士試験が「学科7月・設計製図10月」、二級建築士試験が「学科7月・設計製図9月」という日程でした。
Q.一級建築士試験と二級建築士試験、学科の科目数はどう違いますか?
一級建築士試験の学科は、計画・環境設備・法規・構造・施工の5科目・125問・125点満点(四肢択一式)です。二級建築士試験の学科は、建築計画・建築法規・建築構造・建築施工の4科目・100問・100点満点(五肢択一式)です。科目数・問題数・出題形式が異なります。
Q.学科の総得点が高ければ、必ず合格しますか?
いいえ。一級・二級とも、総得点の基準点に加えて、科目ごとの基準点をすべて満たす必要があります。総得点だけでなく、各科目の基準点も確認する必要があります。なお、具体的な合格基準点は年度によって変動・補正される場合があります。
Q.設計製図の試験時間はどれくらいですか?
一級建築士試験の設計製図は6時間30分、二級建築士試験の設計製図は5時間です。いずれも、事前に公表された課題にもとづいて設計図書や計画の要点等をまとめる試験です。
Q.学科試験に合格すると、翌年以降も学科試験は免除されますか?
一定の条件のもとで免除されます。令和2年以降の学科の試験に合格した人は、引き続いて行われる4回の建築士試験のうち2回について学科の試験が免除されます。ただし、学科合格年の設計製図の試験を欠席する場合は、免除を受けられる回数が3回となります。具体的な適用関係は、受験年度の公式案内を確認してください。
Q.設計製図の課題はいつ分かりますか?
設計製図の課題(設計すべき建物の用途・条件)は、試験本番の数か月前に建築技術教育普及センターのホームページで公表されます。2026年度は、一級建築士試験が7月24日、二級建築士試験が6月24日に課題を公表しました。
Q.試験日程は毎年同じですか?
試験日・申込期間・実施方法等は年度によって変更される場合があります。本記事で紹介している日程は令和8年度(2026年度)のものです。実際に受験を予定している年度の正式な試験案内は、必ず建築技術教育普及センターの公式サイトで確認してください。
まとめ|建築士試験は「学科」と「設計製図」の2段階、一級・二級で中身が違う
建築士試験は、学科の試験に合格した人だけが設計製図の試験に進める2段階方式です。一級建築士試験は学科5科目・125問、設計製図6時間30分。二級建築士試験は学科4科目・100問、設計製図5時間と、科目構成・出題形式・試験時間のいずれも異なります。
建築士試験、まず押さえておきたい全体像
① 学科の試験に合格しないと、その年の設計製図の試験には進めない
② 一級は学科5科目・125問、二級は学科4科目・100問
③ 総得点だけでなく、科目ごとの基準点もすべて満たす必要がある
④ 設計製図の課題は試験の数か月前に公表される
⑤ 学科から設計製図までの期間を考慮して学習計画を立てる必要がある
⑥ 学科合格者には、一定の条件のもとで学科試験免除制度がある
⑦ 試験日程・申込方法は年度によって変わる場合があるため、最新の公式情報を必ず確認する
自分がどちらの試験を目指すべきか、受験資格を満たしているかがまだ不明な場合は、別記事「一級建築士と二級建築士の違いとは?」「一級建築士の受験資格をわかりやすく解説」「二級建築士の受験資格をわかりやすく解説」もあわせてご確認ください。
Arc建築士予備校では、一級・二級建築士試験の学科対策から設計製図対策まで、マンツーマンでサポートしています。
参考文献・公的資料
- 公益財団法人 建築技術教育普及センター「一級建築士試験」
- 公益財団法人 建築技術教育普及センター「試験について(一級建築士試験)」
- 公益財団法人 建築技術教育普及センター「設計製図の課題(一級建築士試験)」
- 公益財団法人 建築技術教育普及センター「二級建築士試験」
- 公益財団法人 建築技術教育普及センター「試験について(二級建築士試験)」
- 公益財団法人 建築技術教育普及センター「設計製図の課題(二級建築士試験)」
※本記事は2026年9月時点の公表情報(令和8年度試験実施内容を含む)をもとに作成しています。試験科目・配点・合格基準点・試験日程・学科免除制度等は年度によって変更される場合がありますので、実際に受験を検討する際は、公益財団法人建築技術教育普及センターが公表する最新の試験案内を必ずご確認ください。
