建築士試験が変わる|在学中受験・実務経験短縮と今後の試験見直しを解説【2026年建築士法改正】
2026年、建築士を目指す人にとって大きな制度改正が行われました。
建築士法の改正により、一定の要件を満たす大学・高校等の最終学年の学生にも、1級・2級・木造建築士試験の受験機会を広げる仕組みが導入されることになったのです。
今回の改正は、単なる「受験資格の緩和」ではありません。
建築士不足・高齢化という問題を背景として、「若い世代が建築士を目指しやすい制度」に建築士資格そのものを再設計しようとする動きと考えることができます。
さらに、2026年8月31日付の建通新聞では、日本建築士事務所協会連合会(日事連)が、受験機会を広げるだけではなく、建築士試験そのものについても「建築士に必要な資質を確認できる試験」へ見直す必要性を指摘していることが報じられました。
これから建築士を目指す大学生・高校生・社会人にとって、今回の改正はどのような意味を持つのでしょうか。
Arc建築士予備校が、制度改正のポイントと今後の建築士試験対策について整理します。
目次
1.2026年の建築士法改正で何が変わる?
今回の建築士法改正で特に注目したいのが、建築士試験を受験できる時期の前倒しです。
現行制度では、一級建築士について大学等で国土交通大臣が指定する建築科目を修めた場合でも、原則として卒業後に受験資格が生じます。
これに対して改正法では、必要な単位の修得など一定の要件を満たす場合、最終学年の在学中から建築士試験を受験できる仕組みが導入されます。
| 項目 | 現行制度 | 改正後 |
|---|---|---|
| 大学等の建築系学生 | 原則、指定科目を修めて卒業後に受験 | 一定の要件を満たせば最終学年で受験可能に |
| 高校等の学生 | 卒業後が基本 | 一定の要件を満たす最終学年で受験可能に |
| 建築学歴のない2級・木造建築士志望者 | 実務経験7年以上 | 受験時2年・免許登録時4年へ短縮 |
2.なぜ建築士試験を変える必要があるのか
制度改正の背景にあるのが、将来の建築士の担い手確保です。
建通新聞は、日本建築士事務所協会連合会(日事連)のアンケートで、「すでに人材不足となっている」と回答した会員が49.9%に達したと報じています。
さらに、建築確認審査・検査などを担う行政側でも高齢化が進み、50歳以下の資格者がいない地方自治体もあるとされています。
国土交通省も、建築士人材を継続的・安定的に確保する観点から受験機会の拡大を進めてきました。
つまり今回の制度改正は、単に受験者にとって便利になるという話ではなく、日本の建築を支える人材をどう確保するかという中長期的な政策でもあります。
3.大学などの在学中から建築士試験へ
今回の改正で、大学生にとって建築士資格取得の時間軸が大きく変わる可能性があります。
大学で建築を学ぶ → 卒業 → 建築士試験 → 合格 → 必要な実務経験 → 免許登録
大学で建築を学ぶ → 最終学年で建築士試験に挑戦 → 卒業 → 必要な実務経験 → 免許登録
学生のうちに試験へ挑戦できれば、社会人になって仕事をしながら初めて本格的な受験勉強を始める場合と比べ、学習時間を確保しやすい可能性があります。
大学で学んだ構造・計画・法規・施工などの知識を、記憶が新しいうちに建築士試験へ接続できることもメリットでしょう。
4.2級・木造建築士の実務経験要件も見直し
今回の改正は、建築学科の学生だけに関係するものではありません。
建築関係の学歴を持たない人が2級・木造建築士を目指すルートについても、実務経験要件が大きく見直されます。
建築学歴なしの場合
現行:実務経験7年以上
↓
改正後:実務経験2年で受験可能、4年で免許登録可能
建築とは異なる学科を卒業した人や、別業界から建築分野へ入った社会人などにとって、資格取得までの時間が大幅に短縮される可能性があります。
建築士へのキャリアチェンジという選択肢にも影響する改正といえるでしょう。
5.次の論点は「試験問題そのもの」
そして今回の建通新聞の記事で特に注目したいのが、受験資格だけでなく「試験問題のあり方」も議論されている点です。
記事によると、日事連は現在の建築士試験について、建築士として必要な資質を確認する試験として本当に適切なのかという問題意識を示しています。
ポイントは、資格者に求める水準を下げるという話ではありません。
求められている方向性
建築士として必要な水準は維持する。一方で、実務との関連性が低い「過度に難解な問題」があるなら見直し、建築を学ぶ学生が高校・大学で身につけた知識を生かして合格できる試験にすることが望ましい、という考え方です。
これは建築士試験の意味そのものを考え直す議論です。
6.では、建築士試験は「簡単になる」のか?
ここは誤解しないようにしたいポイントです。
「受験資格が広がること」と「試験が簡単になること」は別問題です。
一級建築士は、建築物の安全性・機能性・法令適合性などに大きな責任を負う国家資格です。資格者として必要な能力水準を維持することは当然求められます。
| 見直されるもの | 意味 |
|---|---|
| 受験機会 | 若い世代などが早く挑戦できる |
| 実務経験要件 | 一部ルートで資格取得期間を短縮 |
| 試験問題 | 実務との関連性や適切な難易度を検討 |
| 建築士に必要な資質 | 必要な水準を維持することが前提 |
したがって、「誰でも簡単に建築士になれるようになる」と考えるのは適切ではありません。
7.大学生の建築士試験対策はどう変わる?
Arc建築士予備校が今回の制度改正で特に注目しているのが、大学教育と建築士試験対策の距離が近くなる可能性です。
これまで大学生にとって、建築士試験は「卒業してから本格的に考える資格」になりがちでした。
しかし在学中受験が実施されれば、大学3年~最終学年頃から、大学の専門科目と建築士試験対策を並行して考える学生が増える可能性があります。
大学での学習
構造力学/建築計画/環境・設備/建築法規/施工/設計製図
建築士試験対策へ接続
大学で学んだ知識を「試験で解ける知識」へ整理する
これは、Arcが大学進級対策から1級・2級建築士試験まで一貫してサポートする理由とも一致します。
8.新制度の課題は「大学の学業と受験勉強の両立」
一方、在学中受験には大きな課題もあります。
大学の最終学年は、授業だけでなく卒業研究、卒業設計、就職活動などが重なる時期です。
そこへ難関国家資格である建築士試験の勉強が加われば、単純に学習負担が増える可能性があります。
実際、日本建築学会からも、在学中受験によって大学等での学業がおろそかにならないよう慎重な制度設計を求める意見が示されています。
大学の授業・試験・卒業研究・卒業設計・就職活動と建築士試験を一つの年間計画として設計し、「今、何を優先するのか」を判断する学習管理がより重要になります。
9.Arc建築士予備校は「大学進級→建築士試験」までマンツーマンで対応
Arc建築士予備校では、建築を学ぶ大学生から1級・2級建築士を目指す社会人まで、完全マンツーマンで指導しています。
集団授業とは異なり、一人ひとりの理解度・大学の授業予定・仕事・受験時期に合わせて学習計画を設計できることが特徴です。
構造力学・製図など大学の専門科目からサポート
学科から設計製図まで個別に対策
基礎知識から製図まで段階的に指導
特に在学中受験が始まれば、大学生には「大学の単位取得」と「建築士試験合格」を別々に考えない学習設計が重要になるとArcは考えています。
よくある質問
Q.現在、大学在学中でも一級建築士試験を受験できますか?
現行制度では、大学等で指定科目を修めて「卒業」することが一級建築士試験の学歴要件です。2026年の改正法によって在学中受験の仕組みが導入されますが、資格要件関係の具体的な施行日は今後政令で定められます。
Q.建築士法改正で試験が簡単になるのですか?
受験機会の拡大と試験の難易度は別の問題です。資格者に必要な水準を維持しながら、実務との関連性が低い過度に難解な問題など、試験問題のあり方を見直す議論が行われています。
Q.建築学科ではありませんが2級建築士を目指せますか?
はい。現行制度にも実務経験による受験ルートがあります。さらに今回の改正では、建築関係の学歴がない人について、2級・木造建築士試験を実務経験2年で受験し、4年で免許登録できる仕組みが導入される予定です。
Q.大学の授業と建築士試験対策を同時にできますか?
可能ですが、卒業研究・卒業設計・就職活動などとの時間配分が重要です。Arc建築士予備校では大学生の履修状況や苦手分野に合わせてマンツーマンで学習計画を作成します。
まとめ|建築士試験は「若い人が早く挑戦できる資格」へ
2026年の建築士法改正は、建築士資格制度にとって大きな転換点です。
在学中受験の導入、2級・木造建築士の実務経験要件の見直しによって、これまでより早い段階から建築士を目指せる可能性が広がります。
そして次に問われているのが、「建築士に本当に必要な能力を適切に確認できる試験とは何か」という試験そのもののあり方です。
受験できる時期が早くなれば、それだけ早く準備を始める意味も大きくなります。
Arc建築士予備校では、大学の専門科目の理解から1級・2級建築士試験まで、一人ひとりの現在地に合わせたマンツーマン指導を行っています。
参考文献・引用資料
- 国土交通省「建築士法の一部を改正する法律等について」
- 公益財団法人 建築技術教育普及センター「一級建築士試験 受験資格」
- 公益財団法人 建築技術教育普及センター「二級建築士・木造建築士試験 受験資格」
- 衆議院「第221回国会 国土交通委員会 第13号」
- 建通新聞「建築士試験が変わる(1)在学中の受験解禁、影響は」
- 建通新聞 2026年8月31日「建築士試験が変わる(2)資格目指す若手、取り残さない 資質を確認できる試験に」
※本記事は2026年9月1日時点で公表されている情報をもとに作成しています。改正法に基づく具体的な施行日、在学中受験の詳細な要件、試験制度等については、今後公表される政令・省令および試験実施機関の最新情報をご確認ください。
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