一級建築士と二級建築士の違いとは?仕事内容・設計できる建物・難易度・年収・受験資格を比較


一級建築士と二級建築士は、何がどう違うのか?

建築士を目指すとき、多くの人がまず疑問に思うのが「一級建築士と二級建築士は何が違うのか」という点です。

どちらも建築物の設計・工事監理を行う国家資格ですが、免許を出す主体、設計できる建物の規模、試験科目、難易度、年収まで、実はさまざまな違いがあります。

「とりあえず二級から」「最初から一級を目指す」など、目指し方も人によって分かれるため、違いを正しく理解しておくことが大切です。

先に結論
一級建築士と二級建築士の大きな違いは、「設計・工事監理できる建物の範囲」です。一級建築士は二級建築士に設けられているような建築物の規模等による業務範囲の制限がなく、二級建築士は高さ・階数・延べ面積・用途などに一定の制限があります。この違いが、試験科目・難易度・キャリアなどの違いにもつながっています。

この記事では、一級建築士と二級建築士の違いを、仕事内容・設計できる建物・試験・難易度・年収・受験資格という切り口から、Arc建築士予備校が整理します。

1.一級建築士・二級建築士とは?基本の位置づけ

建築士には、一級建築士・二級建築士・木造建築士の3種類があります。

いずれも建築士法に基づき、建築物の設計や工事監理などを行う専門職ですが、資格ごとに扱える建築物の範囲が異なります。

3つの建築士のおおまかな位置づけ

  • 一級建築士:二級建築士に設けられているような建築物の規模等による業務範囲の制限がなく、幅広い建築物の設計・工事監理が可能
  • 二級建築士:住宅をはじめ、一定規模以下の建築物を中心に扱う
  • 木造建築士:小規模な木造建築物に特化

この記事では、実務でも受験相談でも比較されることの多い一級建築士と二級建築士の違いに絞って解説します。

2.免許を出す主体の違い

一級建築士と二級建築士は、そもそも免許を交付する主体が異なります。

比較項目 一級建築士 二級建築士
免許を出す主体 国土交通大臣 都道府県知事
試験の実施 建築技術教育普及センター(中央指定試験機関) 建築技術教育普及センター(都道府県指定試験機関)
活動できる地域 全国 全国(免許は都道府県知事が交付)

一級建築士は国土交通大臣の免許、二級建築士は都道府県知事の免許という違いがあります。試験については、一級建築士試験では建築技術教育普及センターが中央指定試験機関として、二級建築士試験では都道府県指定試験機関として試験事務を行っています。

3.設計できる建物の範囲の違い【比較表】

一級建築士と二級建築士の最も本質的な違いは、設計・工事監理できる建築物の範囲です。

建築士法・建築基準法では、規模や構造、用途に応じて、どの資格者が設計・工事監理を行えるかが細かく定められています。

比較項目 一級建築士 二級建築士
建物の規模制限 二級建築士に設けられているような規模等による制限なし あり
木造建築物 制限なし 階数3以下かつ高さ16m以下を基本とし、延べ面積・構造・用途等に応じて業務範囲が定められている
RC造・S造など 制限なし 延べ面積300㎡を超えるものなど、規模・構造・用途等に応じて制限あり
大規模建築物 制限なし 延べ面積1,000㎡超かつ階数2以上の建築物などは不可
学校・病院・劇場等 制限なし 延べ面積500㎡を超える特殊建築物などは不可
代表的な対象建物 オフィスビル・商業施設・競技場など大規模建築を含む幅広い建築物 戸建住宅をはじめ、一定規模以下の建築物

建築基準法では、規模・構造・用途に応じて、一級建築士でなければ設計・工事監理できない建築物と、一級・二級建築士のどちらでも扱える建築物が区分されています。

ポイント:
一級建築士と二級建築士は、共通して一定規模以下の戸建住宅などを設計できます。特に二級建築士の業務範囲については、構造・階数・高さ・延べ面積・用途などを組み合わせて判断する必要があります。なお、2025年4月1日から二級建築士の業務範囲について「階数3以下かつ高さ16m以下」という基準に変更されています。

4.受験資格の違い

受験資格にも違いがあります。ざっくりまとめると、二級建築士の方が受験資格の間口が広く、一級建築士はより専門的な学歴・資格が前提になります。

比較項目 一級建築士 二級建築士
代表的な受験資格 指定科目を修めた大学等の卒業者/二級建築士/建築設備士 など 指定科目を修めた大学・短大・高専・高校・専修学校等の卒業者/実務経験による受験 など
建築系の学歴がない場合 原則として、二級建築士や建築設備士などの資格が前提 現行制度では実務経験7年以上で受験可能
受験時の実務経験 不要(実務経験は免許登録時に審査) 学歴によっては最短0年、学歴なしは7年以上

一級建築士は2020年以降、試験を受ける段階では実務経験を求めず、必要な実務経験は免許登録の際に審査する仕組みに変わっています。免許登録時の要件は、受験資格となった学歴・資格等によって異なります。
受験資格の詳しい要件は、それぞれ別記事(一級建築士の受験資格・二級建築士の受験資格)で解説していますので、あわせてご確認ください。

5.試験科目の違い

一級建築士試験・二級建築士試験は、どちらも「学科の試験」と「設計製図の試験」の2段階です。ただし学科の科目数が異なります。

比較項目 一級建築士 二級建築士
学科科目数 5科目(計画/環境・設備/法規/構造/施工) 4科目(建築計画/建築法規/建築構造/建築施工)
設計製図 あり あり
設計製図の受験条件 原則、学科試験合格が必要 原則、学科試験合格が必要

一級建築士は学科が5科目と幅広く、範囲も二級より専門的・応用的な内容を含みます。二級建築士は科目数こそ少ないものの、住宅を中心とした実務に直結する内容が問われます。

試験科目の詳しい内容は、別記事「建築士試験とは?」でさらに詳しく解説しています。

6.難易度・合格率の違い

難易度の違いを考えるうえで、合格率は一つの参考指標になります。

比較項目 一級建築士(令和7年度) 二級建築士(令和7年度)
学科試験の合格率 16.5% 40.9%
設計製図試験の合格率 35.0% 46.4%
総合合格率 11.4% 22.6%

建築技術教育普及センターが公表した令和7年度の試験結果によると、一級建築士試験の総合合格率は11.4%でした。同年度の二級建築士試験は、学科試験合格率40.9%、設計製図試験合格率46.4%、総合合格率22.6%という結果が公表されています。

令和7年度の総合合格率を単純比較すると、一級建築士の方が低い水準となっています。また、一級建築士は学科の科目数が多く、出題範囲も広いため、一般に二級建築士よりも学習負担が大きい試験とされています。

ポイント:
合格率は年度によって変動します。一級・二級それぞれの難易度・勉強時間の目安は、別記事「一級建築士はどれくらい難しい?」「二級建築士は難しい?」でさらに詳しく解説しています。

7.仕事内容・キャリアの違い

資格によって、実務で任される案件の規模やキャリアの広がり方にも違いが出てきます。

一級建築士のキャリア
ゼネコン・組織設計事務所・住宅メーカーの設計部門など、大規模建築を扱う職場で幅広く活躍
二級建築士のキャリア
工務店・住宅会社・設計事務所などで、戸建住宅を中心とした設計・工事監理を担当
共通するキャリア
どちらも独立して建築士事務所を開設し、設計事務所として活動することが可能

なお、一級建築士のうち、構造設計・設備設計について高度な専門能力を有すると認められた者は、それぞれ構造設計一級建築士・設備設計一級建築士として、専門性の高い業務に従事することもできます。

8.年収の違い

設計できる建物の範囲が広がることや、担当できる案件の規模・勤務先・役職などの違いによって、年収にも差が出る場合があります。

比較項目 一級建築士 二級建築士
年収の目安 700万円前後とされる統計・調査例あり 500万円前後という求人市場の目安があるが、資格別の公的統計ではない
データの出所 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」等をもとにした統計・集計 求人情報等からの目安。資格単独の公的な平均年収統計は少ない

厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした集計では、一級建築士の平均年収はおおよそ700万円前後とされる例があります。

二級建築士については資格単独の公的な年収統計が少なく、求人情報などから500万円前後が一つの目安とされることがあります。ただし、いずれも勤務先の規模・地域・年齢・役職・担当業務(意匠・構造・設備・工事監理など)によって幅があります。

9.よくある勘違い

一級建築士と二級建築士の違いについて、次のような誤解がよく見られます。

誤解されやすいポイント

  • 「二級建築士は住宅しか設計できない」→住宅に限らず、規模・構造・用途等の条件を満たす一定の建築物について設計・工事監理が可能
  • 「一級を受けるには必ず二級を取らないといけない」→指定科目を修めた大学等の卒業者などは、二級を経由せず一級建築士試験を直接受験できる
  • 「二級建築士の方が試験は簡単だから価値が低い」→担当できる建物の範囲が異なり、二級建築士も一定範囲の建築物について設計・工事監理を行う専門資格
  • 「一級建築士になれば、実務経験なしですぐ働ける」→一級建築士試験の合格と免許登録は別の手続きであり、免許登録時には受験資格等に応じた要件の確認が必要

「上位資格・下位資格」という単純な捉え方ではなく、「扱える建物の範囲や専門性が異なる資格」と考えると理解しやすいでしょう。

10.一級・二級、どちらを目指すべき?ケース別に整理

どちらを目指すかは、将来どのような建築に関わりたいかによって変わります。

こんな人 検討したい資格
将来、オフィスビルや商業施設など大規模建築にも関わりたい 一級建築士
戸建住宅を中心に、地域密着で設計・工事監理に携わりたい 二級建築士
建築系の学歴がなく、実務経験を積みながら資格を取りたい 二級 → 一級のステップアップ
大学の建築系学科で指定科目を履修している 一級を直接目指す選択肢も

一級建築士試験の受験資格を直接満たしている場合は、二級建築士を経由せず一級から挑戦することも可能です。一方で、建築系の学歴がない場合や、まずは実務経験を積みながら資格を取りたい場合は、二級建築士からステップアップするルートも選択肢の一つです。

11.Arc講師の視点|「二級から一級」は遠回りではない

Arc建築士予備校でよく相談されるのが、「最初から一級を目指すべきか、二級から始めるべきか」という質問です。

結論から言うと、どちらのルートにも、それぞれのメリットがあります。

学歴・現在の実務経験・将来携わりたい建築の規模によって、適したルートは人それぞれ異なります。特に、建築系の学歴がない社会人の方や、大学の専門科目でつまずいている学生の場合、二級建築士で基礎を固めてから一級へ進む方法も考えられます。

一級建築士対策
学科5科目・設計製図を理解度に合わせて個別対策
二級建築士対策
基礎から学科4科目・設計製図まで段階的に対策
ルート相談
学歴・実務経験・目標から、一級直接か二級経由かを一緒に整理

「自分は一級・二級のどちらを目指すべき?」という相談だけでも大丈夫です

現在の学歴・実務経験・受験予定から、受験ルートを一緒に整理します。

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一級建築士と二級建築士の違い|よくある質問

Q.一級建築士と二級建築士、結局どちらが「上」ですか?

一級建築士は、二級建築士に設けられているような建築物の規模等による業務範囲の制限がなく、対応できる範囲が広い資格です。ただし、二級建築士も一定範囲の建築物について設計・工事監理を行うことができるため、単純な「上位・下位」だけで捉えるより、業務範囲の違いとして理解する方が実態に近いでしょう。

Q.二級建築士は住宅の設計しかできませんか?

いいえ。二級建築士は住宅に限らず、一定の規模・構造・用途の建築物について設計・工事監理を行うことができます。木造建築物については、2025年4月1日から「階数3以下かつ高さ16m以下」という基準に変更されており、さらに延べ面積や用途などによって業務範囲が定められています。

Q.一級建築士試験を受けるには、必ず二級建築士が必要ですか?

必要ありません。大学等で指定科目を修めて卒業した人などは、二級建築士を経由せず一級建築士試験を直接受験できます。二級建築士は、一級建築士試験の受験資格の一つという位置づけです。

Q.一級建築士と二級建築士では、どちらが難易度は高いですか?

令和7年度の総合合格率は、一級建築士が11.4%、二級建築士が22.6%でした。合格率だけを単純比較すると一級建築士の方が低い水準となっています。また、一級建築士は学科の科目数や出題範囲が広く、一般に二級建築士よりも学習負担が大きい試験とされています。

Q.一級建築士と二級建築士で、年収はどのくらい違いますか?

一級建築士については、公的統計をもとにした集計で700万円前後とされる例があります。二級建築士については資格単独の公的統計が少なく、求人情報等では500万円前後が一つの目安とされることがあります。ただし勤務先や地域、年齢、役職、担当業務によって差があります。

Q.二級建築士から一級建築士にステップアップすることはできますか?

できます。二級建築士は一級建築士試験の受験資格の一つとされているため、二級建築士として実務経験を積みながら、一級建築士を目指すルートを選ぶこともできます。

まとめ|違いを理解したら、自分に合ったルートを選ぼう

一級建築士と二級建築士の違いは、単なる「難易度の差」ではなく、設計・工事監理できる建物の範囲・試験科目・キャリアの広がり方まで含めた、性質の異なる2つの資格の違いです。

一級建築士と二級建築士、違いのポイント

① 免許:国土交通大臣(一級)/都道府県知事(二級)
② 設計できる建物の範囲:二級には一定の制限あり/一級は二級のような規模等による制限なし
③ 学科科目:5科目(一級)/4科目(二級)
④ 令和7年度総合合格率:11.4%(一級)/22.6%(二級)
⑤ 年収の目安:一級は700万円前後とされる集計例/二級は500万円前後という求人市場の目安

どちらを目指すかは、将来携わりたい建築の規模や、現在の学歴・実務経験によって変わります。「自分にはどちらが向いているか分からない」という場合は、一人で悩まず相談してみることも一つの方法です。

Arc建築士予備校では、一級・二級どちらのコースもマンツーマンで指導しており、受験ルートの相談から対応しています。

参考文献・公的資料

※本記事は2026年9月時点の公表情報をもとに作成しています。合格率・年収等の数値は年度・調査によって変動します。受験資格・業務範囲・免許登録要件等は、法改正や制度変更によって変わる場合がありますので、実際に受験・業務を行う際は、国土交通省および建築技術教育普及センターが公表する最新情報をご確認ください。